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お待たせしました、十三羽目。 春はいい。 具体的にいうと、花々が綺麗でいい。 もっと具体的にいうと、若い新入生が一杯入ってきて、華やかでいい。 もっともっと具体的にいうと、いや、だって、少し前まで、彼女ら女子高生っすよ。なんだよ、それはっ!! 「母さんへ。近頃のキャンパスは春の若葉に溢れ、非常に見頃です。ベンチに座り眺めているだけで、なんだか心が癒されていく、そういう気分になります」 そんな春、万歳。 「大分久しぶりだな」 アヒルは言った。 「第12羽目から季節が二つも変わったぞ。年も変わった。いくらなんでもさぼり過ぎじゃないか?」 「いや、ちょっと忙しくてね。私にもいろいろあるんだ」 「忙しいっていっても半年だぞ。中だるみにも程がある。お前が更新しないことでどれだけの被害を俺が被ると思ってるんだ。でれないんだぞ、俺が」 「いや、だからすまないと言ってるだろ。ちょっとした状況の変化というやつだ」 「何があった?」 「なんか小説家になった」 「前から書いていたろうが、それは」 「ちがう、今までのとちょっとちがう。なんか企業で本出す奴。えっと、とぅるー・作家?」 「滅茶苦茶な英語だな。要はプロと言いたいのか」 「そう、それ」 「馬鹿を言え。いいか本って言うのは賞に応募したり、持ち込んだりして、認められてから様々な行程を踏んでようやく一冊できあがるんだ。そんな一朝一夕に作家になられてたまるか」 「だから半年以上たったじゃん」 「そう言えばっ!」 「その間に本が出版されたんだ。ということで私は名実ともにプロとなったわけだ」 「ふん、たった一冊書いたぐらいで調子に乗るな、ひよっこが。世の中莫大な数の奴が作家になって、莫大な数の奴が消えていく。そういう世界だ、そこは」 「知ってるよ、私だって覚悟はできてるさ」 「ほう、お前にしては珍しいな」 「いつでも逃げる準備万端だ」 「そこはかとなく後ろ向きだな」 「私の座右の銘は『ヒット&アウェイ』なんだ」 「せこっ」 「まぁ、だからこそ玉砕する覚悟でもある。私は作家として暮らしたいんじゃない、ただ良い本を書きたい、書き続けたい、それだけだ。それで、その本を作るのに携わってくれた、支えてくれた人たちに還元できればいいなと思ってる。一人じゃ、本は作れないから」 「ふん。綺麗事だな。ま、でもただの青二才のたわごとにならんよう、せいぜいがんばれよ」 「なんとか、やれるだけやってみるよ、アヒ――」 「陸のあひるだ」 「そうだった」 「忘れるなよ」 「全くだ」 「ところで一つ、こいつは重要な話だから今のうちに話しておきたいんだが、これは少し法律関係の問題になるかもしれんから、早めの方が良いと思ってな」 「なんだ?」 「俺が主役の本はいつでるんだ?」 「…………。」 でねぇよ。 青天白雪 空が青いままの雪は降っているというよりも舞っているという方がしっくりくる。 僕にはそれが、なんだか迷子みたいに見えたんだ。 行き場所を失って、目的を失って、ただ迷い続ける雪達。 彼女は「ぜんぜんつもらないんだね」と言って笑った。 僕は「そうだね」とは返さなかった。 そんなこと言っても、意味がないことを僕は知っていたから。 ただ悲しくなるだけだと分かっていたから。 そして風に靡いて地に伏す雪は、決して積もることなく、ただ溶けて消えるだけ。 だけど僕の目の前で、何度も彼らは繰り返すのだ。 無駄なんかじゃないんだって、僕らに諭すように。 積もってくれれば幻想的なのだろう。 だけど、それは叶わぬ願い―― なんか季節外れのも入ってますけど、お気になさらず。 お便りレスは次回に。 今日はここまで。 |
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